Japanese | -> Audio | -> 道程その1 | -2004.8.24 Upadated- |
当時の学研電子ブロック EX-30(うえだおさむさん所蔵)
小学校高学年の時、親に電子ブロックなるものを買ってもらった。これはプラスチックのブロックに抵抗、コンデンサ、トランジスタ、ダイオード、端子板などが組み込まれており、ブロックの組み合わせ方次第でモールス鍵盤や水位検知器、各種発振器、ゲルマニウムラジオなど様々なものを作ることができるという汎用性のある一種のおもちゃである。ハンダ付けの必要もないので手軽に電子回路の実験が行なえる。ラジオも非常に単純なものからちょっと高級なものまで複数の回路が用意されていた。これで私は随分と遊んだ。
もちろん当時はそれぞれの素子がどんな働きをするかなどということは全く考えず、単に組み立てては動かして楽しんでいただけである。しかしこの経験が、私に電気の楽しさを教え、電気を身近なものにしてくれたのではないかと思う。
嬉しいことに現在学研の大人の科学から電子ブロックが復刻され入手可能である。是非手に入れて御家族で楽しんでいただきたい。
学研電子ブロック EX-150 復刻版 150回路の実験が可能
私が中学生の頃はラジオの深夜放送が全盛の時代である。当初は親のラジオを借りて聴いていたが、夜更かしのせいで成績が下がると余計な説教をされるのも嫌だったので、自分専用のラジオが欲しくなった。当時製品が買える程こずかいはなく、また小学生の時に近所の中学生のお兄ちゃんが菓子のケース(チョコベビーだったか?)にラジオを組み立てていたのを見て憧れていたこともあり、自分で作ってみようと思った。ただし何の部品をどうやってつなぐかについてまったく知識がない。まずは本屋に行きそのものずばりの「初歩のラジオ」(誠文堂新光社)という月刊誌を買った。運よく適当な製作記事が載っていたので、早速秋葉原で部品を調達して作ってみた。そのラジオはえらく同調が難しくてちょっとバリコンをひねっても次の局まで動いてしまうような代物だったが、回路が単純で作り易い以上しかたがない。この時にハンドボールやハンダごて、ラジオペンチを買ったのが工具フェチの始まりか。その頃の自分にとってハンダ付けはとても難しく何度も火傷したし、またドリルの使い方も下手で穴開けが終わるとケースはキズだらけだった。そんなわけで完成前のイメージと出来上がったものの間にはギャップがあり、自分の腕のなさにがっかりもしたが、反面モノを作ることはなんて楽しいんだろうと目覚めてしまった
最初に買った「初歩のラジオ」
確かコロムビア製の、スピーカのみ別匡体になったアンプ付きプレーヤ(当時モジュラ・ステレオと呼んだ)がうちにあった。すべて外箱はプラスチックで今考えればちゃちなものだが、スピーカが外付けというだけで、小学校などにあるポータブルプレーヤとは一線を画したステレオ装置というイメージで私は扱っていた。ある日ラジオをこのステレオを通していい音で聞きたいと思った。「初歩のラジオ」の講読のおかげで、増幅回路の前に切り替えスイッチをつければ外部入力端子を設けてラジオをつなげる位の知識は身についていた。しかし既製品に手を加えるには勇気がいる。じっくりと付属の配線図を読んでプランをたて、改造に取りかかった。アンプを通してスピーカからでてくるラジオの音は格別のように当時の私には思えた。こういう感動は一度味わうと忘れられない。
しばらくすると案外この装置はハム(ブーンっていうあれだ)が多いことに気付いた。これはアンプの匡体がプラスチックでシールド効果がないためだと考え、秋葉原でアルミの弁当箱シャーシとアルミ板、スイッチ、ボリューム、LED、抵抗を購入し、アルミケースにモジュラ・ステレオの中身を移植した。結果見た目は向上したが、ハムは電源トランスの質からくる(トランス自体のシールドが甘い)もので音響面の改善はなかった。ただインスタントレタリングによるデザインはとても楽しかった。