さて、Second Seasonへ突入である!
今度は思い付くままにJAZZについてつらつらと...
その1:FUNKの卸商人その2:乱調の美その3:想ひは通ずる(To be continued......) |
とてもメジャーな巨漢Alt奏者、 Cannonball Adderley (メジャー故に聴かないという人もいるが)。私はこの人のノリのよさが大好きだ。聴き手の精神的な不安など吹き飛ばしてしまうような勢いが好きだ。デリカシーがないと感じる人は...他をあたってほしい。音楽は嗜好だから強制はしない。
好きなアルバムはまず、 Them Dirty Blues (Landmark LLP-1301 <- Riverside RLP-303) 。 Work Song のオリジナル演奏が収録されている。この曲、「頑張って働こうぜ!」とでも言ってるようで、聴くととたんに熱くなる。しかも再発の Landmark 盤には、おいしいことに piano が Barry Harris のものと Bobby Timmons のものと2Take 納められていて、聴き比べができる。個人的には Cannonball がホットな分、少し醒めた Barry Harris がサポートしているTake の方がまとまりがあり、好きだ。その他にも Manhatten Transfer がとりあげていた Jeanine や、 Easy Living など聴き所の多いアルバムだと思う。なおこのアルバムは Landmark で再発されるまで非常に入手困難だった。そのため、このお皿のあった高田馬場の Intro では行く度にこれをリクエストしていた。そして今は亡き、神保町 響 でも...
次に、 Quiet Nights / Cannonball Adderley And The Bossa Rio Sextet With Sergio Mendes (Capital SF-699 <- "Cannonball's Bossa Nova" Riverside RLP-455) 。 Cannonball の奏でるボサノバが堪能できる。特にA1の Clouds は自分の結婚式の御歓談タイムに流した思い出深い曲だ。 Cannonball 程の体躯があるとこんなにも軽々と吹けるものなのか。このアルバムは彼の作品の中でもかなりリラックスした部類に属するかと思う。主義主張は二の次なのが感じてもらえれば、もうあなたは Cannonball の虜。
最後に定番だが、 The Cannonball Adderley Quintet In San Francisco (Riverside RLP-311) 。この中の This Here を聴かずして Cannonball は語れない。これ Jazz Workshop でのライブ盤なんだけど、もしその場に自分がいられたらたぶん人生変わっていたと思う。それ程の熱気に包まれた録音で、 Cornet を吹いている実弟の Nat Adderley (アルバムジャケットでしっかり"Featuring" されている)もバリバリにいい味出している。しつこいようだが、こんなライブに一度でいいから遭遇してみたい。
Thelonious Monk(p) の Brilliant Corners (Riverside RLP-226) で、はじめて Ernie Henry(as) を聞いた。まだJAZZをそれ程聴き込んでいた時期ではなかったので、 Sonny Rollins や Thelonious Monk の方に耳がいってしまい、 Ernie Henry には着目できず、アルト奏者の一人という認識しか持てなかった。
若干時は流れて、 Jazz Country に通い詰めていた頃のこと。ある時期私は Jackie McLean にはまってた。そんなある日マスタの野々宮氏が何気に、 Presenting Ernie Henry (Riverside RLP-222) をかけた。その時の詳しい状況は覚えていないが、たぶん話の流れの中で Jackie McLean から Ernie Henry に移ったのではないか、マスタの意図は「McLean との共通性と相違点を君たちには掴めるかな?」というところにあったのではないかと推察する。聴いてみるとこの両者は確かに音色が似ている。でもアドリブの奔放度というか、根っこがよりアヴァンギャルドなところが McLean と異なる。 Ernie Henry は早死にしてしまったけど、もし新主流派が台頭した時代まで生きていたとすればその資質を存分に活かせていたのではないかと思う。この Ernie Henry のオリジナリティを、 Intro のマスタ茂串氏は後述の Seven Standards And A Blues のライナノーツで、「美は乱調にある」という大杉栄のセリフにオーバーラップして表現している。この例えはなかなかだなと、私は今でも思っている。
さて彼のアルバムだが、31才で亡くなったため、リーダーアルバムは Riverside に3枚しかない。その中でも一押しは、 Seven Standards And A Blues (Riverside RLP-248) だ。通常スタンダード曲を取り上げると原曲のイメージに引っ張られ過ぎて演奏のできに不満を感じることも少なくないが(注:これについては議論の別れるところだ。原曲のイメージを大切にすべしという意見と、原曲は単なるモチーフなのだからあまりこだわるべきではないという意見とに。どちらかというと私は後者である。どうしてもプレーヤの個性にプライオリティを置くので。)、存分に Ernie Henry の色を楽しむことができる。このアルバムの吹き込みが1957年だっていうのがいまだに私には信じられない。
そして、 Presenting Ernie Henry (Riverside RLP-222) 。彼の一番有名なアルバムがこれ。以前私は車内用テープとして片面にこれを、もう片面に Jackie McLean Quintet (Jubilee 1064) を録音して、よく聞いていた。そのせいで、ちょっと耳タコになった時期もあったが...最近聞き直してみると、新鮮に感じられる。加えて、Kenny Dorham(tp)、Kenny Drew(P)、Wilbur Ware(b、私の好きなベーシスト上位3傑の1人!)、Art Talor(ds) という完璧なグループ編成で、メンバーすべての聴き所が潜んでいるといってもうそじゃない。
JAZZはその音楽も然ることながらジャケットも大層魅力的だ。立派にアートとして通用するものも少なくない。音楽を聞きながら、ジャケットを眺め、おもむろに裏面のライナーノーツを読む。この時間が、私はたまらなく好きなのだ。
注:CDのジャケットはサイズ・質感ともに味気なく、残念ながら鑑賞に耐えるものではないと感じてしまう。
当然の帰結として、気に入ったアルバムはどうしても手元に置いておきたくなるわけで(苦笑)。もっともコレクターではないので音がそこそこであれば、国内盤の再発で十分に満足だが。
私がもっともレコードを買っていた大学生の頃は、各社からそれこそ珍盤に至るまで潤沢に供給されていたが、そんな環境でもなぜか入手できないタイトルがいくつかあった。中古レコード店のエサ箱を何度となく漁ってもお目にかかれないもの。そんな想いを募らせた後やっと手に入れた思い出深き3枚のレコードについて。
1枚目は Go Man! / Sonny Criss (Imperial 9020)。
1曲1曲は短いが、初期の緊張感に満ちたアドリブを堪能できるアルバム。当時 Sonny Criss の Xanadu 盤や Muse 盤は容易に手に入ったが、これは国内では再発されず、ずっと入手が困難だった。ところがしばらくして東芝EMIが Sonny Criss の Imperial 盤3枚すべて(Jazz-USA, Go Man!, Plays Cole Porter)を発売するという快挙を成し遂げてくれて(驚)。しかも廉価盤! 全部購入したのは言うまでもない(笑)。ただ思い入れが強かった分、Go Man! を聞くことが多い。未だに私の愛聴盤。
2枚目は Two Feet In The Gutter / Dave Bailey (Epic LA16021)。
Dave Bailey のさり気ないサポートと、Frank Haynes の肩肘張らない心地いいテナーが素晴しい1枚である。実は以前 Epic のカットアウト盤を所有していたのだが、ある女性に貸しっぱなしになってしまって.... お察しの通り、返して欲しいともいえず.... また手に入れたいと思い始めてからどれだけの時間が経過したことだろう。最近ふらっとお茶の水の disk union を覗いてみると、なんと壁に再発 CBS 盤が飾ってあるではないか! 久し振りの出会いに感激した。このリラックスした雰囲気の良さを是非皆さんにも堪能していただきたい。
3枚目は Silver's Blue / Horace Silver (Epic LN3326)。
Jazz Country で聞かせてもらって以来どうしても欲しくて、一日たりとも忘れたことがなかったアルバム。上の Two Feet In The Gutter 同様、Epic 盤はずっと以前に CBS/SONY が一度国内発売してから、ずっと廃盤の状態が続いていた。ですからメディアの主流がCDに変わってしまった現在においては、高い金を払ってオリジナルを手に入れるのもやむなしと腹を括っていたが。上記 Dave Bailey を入手した時のこと。Two Feet が復刻されたということはもしかして!?と思い店員に訪ねてみると、既に発売されているが今は在庫がないとのこと(涙)。それから1ヵ月後、めでたく入手した(^_^)。いや〜、とにかく素晴しい!! Hank Mobley が、Joe Gordon が、Donald Byrd が、熱く熱く燃え尽きる。20年待った甲斐があった。